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<当社代表 林の法話を抜粋して紹介します>

 

天上天下 唯我独尊(てんじょうてんげ ゆいがどくそん)

これはお釈迦様がご誕生の際に、

生まれてすぐに東西南北の四方に七歩ずつ歩み、

右手で天を指差し左手で地を指差して発せられた言葉として有名ですが、

誤訳として「この世で自分が一番偉く尊い」

という意味で使われてしまっていますよね(昔は暴走族の服の背中に刻まれていたりしましたよね。昭和の話です 笑)。

しかし本来の意味は

「この世に存在する数多の命であるわたしたちはみな、

唯一無二の使命を平等に持った尊ぶべき存在なのである」

という意味です。

伝説上であっても、

お釈迦様が「わたしがこの世で一番尊い存在だ」

などと言うハズがないことは、

みなさまもお分かりかと思います。

そしてそれに続いて

三界皆苦 吾當安此(さんがいかいく ごとうあんし)

とも仰られています。

三界とは、

・欲界(五欲=食欲、財欲、性欲、睡眠欲、名誉欲)

・色界(目に映るすべての物質、物体に生きる意味を見つける)

・無色界(物質を超えた精神世界や哲学、思想により、生きる意義を見出だす)

で、わたしたち人間が生きているこの世のすべてを表し、

それが皆な苦だというのです。

しかし「苦」とは、

「苦しみ」ということでなく

「思い通りにならない」ことを総じています。

よって、天上天下 唯我独尊 三界皆苦 吾當安此 とは、

この世に尊い目的を平等にもって生まれたわたしたち

(我)であるので、互いを尊重し大切に生きることです。

思い通りにならぬこの世の中をわたし(吾、お釈迦様)が

安んじることによって、みんなで幸せになりましょう」

ということを宣言されたのです。

その宣されたお釈迦様の根源的考え方を、

今の世に当てはめることは簡単ではありませんが、

「平等で尊い人間として与えられた命をいかに生きるか」

は、いつの時代においても大切な考え方であり、

自分自身を決め行く自問自答につながるものでもあると思います。

世の中に、善だの悪だの、

得だの損だのというものがあるわけではなく、

それも自分の心が分別してるだけなのです。

 

そしてお釈迦様は、その命をお還しする際に、

世の中は移ろいやすい怠らず努めよ

と言い遺されています。

何度も何度も何度も伝えても、

ほとんどの方が忘れてしまいます。

それは人間に備わった「記憶」という力のなせる業です。

記憶というのは「おぼえる」力であると同時に、

「わすれていく」力でもあります。

もし記憶が「忘れられない力」であったなら、

わたしたちは寿命までを生きられることは無く、

ちょっとした辛さや悩みの中で命を終えてしまうことでしょう。

しかしまた、人間の中には記録できる装置DNAが埋め込まれています。

より良い生き方を選び続け、

それを怠らず努めることをし続けていれば、

それは記憶でなく、

記録媒体DNAに蓄積されていき、

現代を生きるわたしたちを経て、

未来の人に受け継がれることとなります。