皆様のご自宅に仏壇は置いてありますか?「長男や長女でないから」「本家でないから」という理由で置いていないという方も多いかと思います。馴染みのない方だと仏壇に向かった手を合わせたことがないという方も。
ある調べによると、年齢や地域にもよりますが仏壇所有率は半分以下との結果も出ているようです。「仏壇を用意する立場になった」「そもそも仏壇って用意しなければいけないの?」という方に仏壇に必要性やその意味について触れていきたいと思います。
仏壇の役割とは
仏壇は亡くなった人の写真や位牌を置く台という認識の方も多いかと思いますが、仏壇は「家の中のお寺」とも言われおり、本尊を祀るものとして広まったとされています。
仏教徒として、日々の生活を振り返り教えを実践していくこと、またその中で感謝する場ともなるのです。
ただし、信仰の対象としての意味合いよりも、今は先祖を祀り、特に身近な人の供養の気持ちを表す役割を果たしているというのが大きいかもしれません。
先祖を大切にするというのが日本の大事な伝統であり、仏壇も代々と受け継がれ、毎朝水を替えたり線香を上げたりと生活の一部になってきたといえます。
仏壇をあえて置かない人も増えた
お墓を持たない人が増えたように、仏壇を置かない人もたくさんいます。
あえて置かない理由としては「気持ちが大切」ととらえ、形にとらわれる必要がないと考える人が増えてきたからでしょう。
また、何か置くとしても、例えば故人の写真を一つリビングに置いておくだけでいつでも思い出す環境は整いますし、そこにお花や故人が好きだったものなど置いておくだけで手を合わせやすくなるものです。
決まった形で供養をしなければならないといったことはなく、それぞれがそれぞれの方法で自由に想いを傾けられる、そんな多様性の時代になってきました。
実際に、本尊が置かれるような仏壇ではなく、小さな箱型の写真が置けるスペースしかないものや、手の平サイズの商品なども各仏具店から販売され売れ行きも好調のようです。モダンなものから可愛らしいものまで、インテリアに馴染むものが人気です。
仏壇を置いたほうが良い理由
感謝の気持ちを忘れない
仏壇に毎日腰を下ろして手を合わせるというのが日課となっているご家庭も多いかと思います。先祖がいつも見守ってくれている、そう思うと感謝の気持ちが自然と湧き出てくるものです。
先祖がいなければ私たちはここに生きていません。「今日はこんなことがあった」「私は一生懸命生きているよ」なんてことを報告しながら心を通わせてみるのも良いでしょう。
また、お子様がおられる家庭では命の大切さを学ぶ良い機会となるのではないでしょうか。
本尊に対して祈りを捧げる
冒頭にも書いたように、仏壇の前に座るだけでお寺に出向き本堂にいるのと同じような環境に身を置けます。
生きていればさまざまな困難に直面し、心が弱ってしまうことも多々あるかと思います。そんな時に仏壇の前で気持ちを整理し、前向きになるキッカケとなることもあるでしょう。
また、本尊の前では自然と背筋が伸び、正しく生きることを教えていただけます。
供養の場
お坊さんを自宅に招いて49日忌や1周忌、3回忌などを行う際には仏壇の前で供養をすることとなります。
また、お墓がない場合や遠い場合などには仏壇の前で供養をすることでお墓参りの代わりとなるでしょう。
供養はお坊さんを呼ばなくても皆様だけでできる行為ですので、いつでも手を合わせる時間が作れます。
仏壇を置くデメリット
場所を取る
コンパクトな仏壇が増えたとはいえある程度の場所を確保する必要があります。仏間を設けている自宅であれば問題ありませんが、コンパクトな空間や賃貸の場合はスペースがないということも。
手入れが大変
掃除をしようとすれば細かい隙間や仏具などもあるため意外と手間がかかるものです。仏壇だからこそ毎日丁寧に掃除をしている方も多いかと思います。
インテリアに合わない
置く場所が限られるため、その場所に置くと他の家具との相性が悪いことも。和室がない自宅も多く、リビングに置くことも増えています。どのようなデザインの仏壇を購入するか悩むところですが、今はさまざまなデザインの仏壇があるため、多少インテリアに合わせやすくはなってきたかもしれません。
手元供養について
ある事情によって、または必要性を考えた上で仏壇を置かないといった場合には「手元供養」という方法も選択肢としてあります。
その名の通り、特別なスペースを設けなくても手元で供養をするもので、代表的なものではペンダントがその一つです。故人の遺骨や遺灰を専用のペンダントに入れて身に着けたり、手元に置いておくことができます。
スペースの問題も一つですが、故人を近くで感じていたい、いつでも一緒にいたいという想いで作られる方が増えているようです。
いかがでしたでしょうか。生活の変化から仏壇に対する考え方もさまざまであることがわかると思います。
供養の場、感謝の場として代々受け継がれてきた風習を大切に次の代へ引き継いでいくことを考えると、可能であれば仏壇を生活の一部として共にしていただくことをお勧めします。
しかし、そうもいかない理由も上記で述べてきました。仏壇を置けない場合でも、やはり「気持ち」が大切であり、お墓参りやお盆、お彼岸等で先祖に触れる機会を持っていただくと良いのではないでしょうか。