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墓じまいとは

墓じまいとは今まで自分で管理してきたお墓や代々継承してきたお墓を、さまざまな事情から更地にして手放すことを言います。数年前から「墓じまい」という言葉が知られるようになり、今は一般的に聞かれるようになりました。「お墓は代々大切に受け継がれていくもの」という認識が少しずつ変わってきているのかもしれません。

 

墓じまいをする人が増加した背景

跡継ぎがいない

墓じまいをするにもさまざまな理由がありますが、一番多い理由としては「跡継ぎがいない」といったことが挙げられます。

日本の人口は2008年をピークに減少し続けており、少子高齢化の波はこのまましばらく続くとされています。お墓はもともと家族から家族へとその子孫に受け継がれて守られてきました。先祖が眠るお墓を大切にし、跡継ぎが途絶えないようにそれぞれが努力したとも言えます。

しかし、現代ではライフスタイルの変化などから核家族化が進み、代々家を守っていく、跡継ぎを残すといった意識が低くなってきたことから「子供がいない」「子供がいても跡を継いでくれない」ということになっているようです。

選択肢が増えた

お墓はお墓といっても時代とともにさまざまな形態が現れ、お骨を管理する方法の選択肢が増えてきたことも墓じまいが増えた要因でもあります。

お墓はこうあるべきという従来の考えから、納骨堂や合葬墓や樹木葬、そもそもお骨を残さない「散骨」という方法も人気が出てきています。

自分の子供に迷惑をかけたくない

終活を考えている人が墓じまいをするケースも増えています。ご自身が高齢になってきたことにより、お葬式のことや相続のこと前もって考えたり、その他に身辺整理をしておこうということになります。その中で自然とお墓についても考えることになるでしょう。

お墓の管理料や菩提寺との付き合いなど、子供に迷惑をかけたくないとの想いから墓じまいをするという選択を選ばれる方もいます。

自分で管理できない

高齢になると自分で管理をするのが難しくなるケースもあります。足腰が悪くなったり、移動手段がないとお墓へ行く機会が減り掃除をすることも出来なくなります。お墓が荒れ果てた状態になることも多く、墓じまいを考えるキッカケとなることがあります。

また、子供が地方から都心部に移り住み、地元へ戻ることがない場合はこの場合も墓じまいをして近くにお墓を移すということも考えられます。

 

墓じまいの流れ

墓じまいの意思を伝える

墓じまいをすることが決まったら、その旨をお墓の管理者に伝えます。菩提寺の場合はお寺に直接伝えてください。

申請書類を提出する

現在お墓のある市町村の役場から「改葬許可申請書」を発行してもらいます。移転先のお墓の管理者から「受入証明書」を発行してもらえますので、記入した「改葬許可申請書」と「受入証明書」を役場に提出すると「改葬許可書」が発行されます。なお、墓じまいをした後に「散骨」をする場合はこちらの手続きは不要となります。

石塔撥遣法要を行う

お墓からお骨を取り出すタイミングでお墓の撥遣法要をお坊さんにしてもらいます。閉眼や魂抜きとも呼ばれます。墓石は故人を守るという役目を終え、ただの石に戻すという意味の法要になります。

お墓を撤去する

お墓を解体し更地にするために専門業者へ依頼します。ご自身で探すこともできますが、お墓によっては指定業者があるので必ずお墓の管理者に確認してください。

移転先で納骨をする

納骨をする際はお坊さんに「埋葬供養」をしてもらいます。また、新たに石塔を建てる場合は「石塔開眼」の法要が必要になります。

 

菩提寺から墓じまいをする時には

お墓は主に「公営墓地」「民間墓地」「寺院墓地」に分かれ、その中でも寺院墓地(境内お墓がある場合)は檀家である可能性が高いです。

その際に「檀家をやめさせてくれない」というケースが稀にあります。お寺からすると檀家の数が減るということは、お寺を維持するための管理費や修繕費も減ってしまうことになるため、なるべく関係を続けたいというのが本音かと思います。

その中で問題になるのが「離檀料」です。一部のお寺では法外な離檀料を請求し、払えないために墓じまいが出来ないといった相談も寄せられます。

離檀料(りだんりょう)は払うべき?

正確にいうと離檀料という形で払う必要はありません。それでもお世話になった「お気持ち」でお寺にお支払するものであれば良いですが、「払わないとやめさせない」と言われた場合でも事前に契約書などを交していない限りは法的な義務はないといえます。

但し、お墓を更地に戻すために費用が必ずかかります。こちらについてはお支払したほうが良いでしょう。撤去費用は1㎡あたり10万円前後が相場と言われています。相場より大きく外れた費用を請求された場合は内訳を聞くようにしましょう。

 

納得のいく墓じまいのために

墓じまいを行う事情はそれぞれ違います。お墓の形態を変えて代々引き継いでいく場合もあれば、今の代でお墓を閉じることを決める場合もあります。

墓じまいをするということは、非常に重大な決断となりますが、一番大事なことは自分の気持ちと周りの理解をしっかりと得ることでしょう。

先祖は今のあなたを見守ってくれる、かけがえのない存在です。どのような形でも感謝を忘れず手を合わせる時間を作り、しっかりと報告しましょう。